2015年8月5日

オバマ大統領の広島訪問と原爆投下への謝罪を断った外務省 - ウィキリークスより

古いニュース。
広島・長崎の原爆犠牲者慰霊式典への米国政府の対応を調べていて、2009年11月に初来日した米国オバマ大統領が当初、広島を訪問し原爆投下に対して謝罪する可能性があったことを知った。
これに対し、藪中外務事務次官(当時)が「時期尚早」と断念するようルース駐日大使(当時)に伝えていたようだ。
(cache) オバマ大統領の広島訪問 外務次官「時期尚早」 ウィキリークス公開の米公電 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110926/amr11092618090007-n1.htm

以下、ウィキリークスサイトからの引用および邦訳。
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POTUS VISIT TO JAPAN: TOO EARLY FOR HIROSHIMA VISIT
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5. (C) VFM Yabunaka pointed out that the Japanese public will have high expectations toward President Obama's visit to Japan in November, as the President enjoys an historic level of popularity among the Japanese people. Anti-nuclear groups, in particular, will speculate whether the President would visit Hiroshima in light of his April 5 Prague speech on non-proliferation. He underscored, however, that both governments must temper the public's expectations on such issues, as the idea of President Obama visiting Hiroshima to apologize for the atomic bombing during World War II is a "non-starter." While a simple visit to Hiroshima without fanfare is sufficiently symbolic to convey the right message, it is premature to include such program in the November visit. Yabunaka recommended that the visit in November center mostly in Tokyo, with calls on the Emperor and Prime Minister, as well as some form of public program, such as speeches, an engagement at a university, or a town hall-like meeting with local residents. Highlighting the busy political calendar in the coming weeks, including the election of the new Prime Minister, launching of the new Cabinet, and the Prime Minister's participation in the UN General Assembly and the Pittsburgh G-20 Summit, Yabunaka noted that both sides should begin working quickly on the President's November visit. The Ambassador conveyed an TOKYO 00002033 003.2 OF 003 informal invitation for the new Prime Minister to attend the Pittsburgh Summit, adding that an official invitation will follow once the Prime Minister is elected.
AMBASSADOR'S AUG 28 MEETING WITH VFM YABUNAKA PART 2: POTUS VISIT, NORTH KOREA, CHILD ABDUCTION
https://wikileaks.org/plusd/cables/09TOKYO2033_a.html

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合衆国大統領(President Of The United States)の訪日: 時期尚早な広島への訪問
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5. (C) オバマ大統領は日本人の間で歴史的なほどの人気を誇っており、日本の大衆は大統領の11月の日本訪問に高い期待を持つだろうと藪中外務次官は指摘した。特に反核団体は、4月5日プラハでの核不拡散に関しての大統領のスピーチを念頭に、彼が広島を訪問するかどうかについて推測を巡らすだろう。だが、オバマ大統領が広島を訪問し、第二次世界大戦中の原爆投下に対して謝罪をするという考えは「成功の見込みのないもの」なのだから、両国政府はこのような問題についての大衆の期待を静めなければならないと強調した。ファンファーレ無しの地味な広島訪問ですら適当なメッセージを伝えるのに十分象徴的なのに、11月の訪問にこのような計画を含めるのは時期尚早であると。天皇と首相への訪問、それに何らかの形の公式行事、たとえばスピーチや大学での交流会、あるいは地元住民とのタウンミーティングなど、11月の訪問をほぼ東京を中心とするよう藪中は勧めた。藪中は、新首相の選任(注1)、新しい内閣の発足、国連総会とピッツバーグG-20サミットへの首相の参加など、今後数週間の政治日程が立て込んでいることを強調し、大統領の11月の訪日に向け双方が迅速に作業に取り掛からなければならないと指摘した。ルース駐日大使は、ピッツバーグ・サミットに新首相が出席するよう非公式の招待を伝え、いったん首相が選任されたら後ほど公式の招待をする旨付け加えた。

わざわざ日本側から断っているところを見ると、広島訪問と原爆投下への謝罪について、オバマ大統領側から打診があったと見るのが妥当だろう。
謝罪を"non-starter."(成功の見込みのないもの)と断じているが、なにゆえ日本側から断ったのか、非常に不可解。

(注1)
藪中三十二氏とルース駐日米国大使の会談が持たれたのは2009年8月28日、自民党・麻生政権末期。2日後、8月30日投開票の衆院選で民主党が大躍進し、政権交代。9月16日、鳩山由紀夫氏が内閣総理大臣に就任している。
(「民主党がオバマの広島訪問を断った」というデマを時々見掛けますが、麻生政権末期に、どういう経緯か、外務省が断ったようです。)

obama-yabunaka.jpg

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(追記)
この問題はその後何度か国会で取り上げられているようだ。
(見つかったのは質問主意書とそれに対する政府答弁書のみで、国会での実際の質疑は見つからず。)

(追記2)
ウィキリークスの邦訳部分「ファンファーレ無しの地味な広島訪問ですら正しいメッセージを伝えるのに十分象徴的なのに」の「正しいメッセージ」を「適当なメッセージ」に修正しました。

(他の参照記事)
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2009年、オバマ大統領の広島訪問を断っていた外務官僚
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